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「やった…、成功だ…!」
俺こと清彦は手に入れた体を強調するように、胸と腰に手を添える。
人妻の体になったのはこの際仕方ない。だがそれでも、前の俺より遥かに強い力を持っている。これなら俺の能力の拡張も出来そうだ。
俺は男の「能力者」だった。一部の女性にしか発現しない「能力」を持つ、非常に稀な存在だ。
「能力」を持つ女性は支配階級で、そこから普通の女性、さらに男性、とヒエラルキーが敷かれた世界に異を唱えるレジスタンスの中で俺は生まれ、育った。
最初に出来る事は「体の一部を独立し動かせる」、次に「相手の所有物/能力を略奪する」、「奪った能力を自分のものに変化させる」ができた。
やろうと思えば、様々な「能力者」の力を奪う事ができる。だが男というだけで下に見られ、地位はなく、支配階級の女性に近づくことは難しい。
だからレジスタンスは俺の「能力」を活用し、「脳を独立し動かして、能力者の女性の体を奪う。あわよくば能力を略奪し戦力を増強させること」を目的とした作戦を打ち立てた。
女の体になってしまうが、俺としては能力の増強、そして地位を得た女性の立場になる事で、レジスタンスのみんなを助けられるならと思い、作戦を決行した。
結果は成功だ。俺は脳を独立して動かし、宅急便の荷物を装い、現役を引退した能力者のOG、タチーハ=アルジェ・西東の脳を追い出し、体を「略奪」した。
これで今日から俺がタチーハ=アルジェ・西東だ。
ここを拠点として、様々な能力を奪っていってやる。いや、それより女の体を手に入れたんだ。新たな体を手に入れて、支配階級に潜り込むことだってできる。
…レジスタンスの「俺」はもういない。俺は、自由になったんだ。