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鏡に映る美女は俺と一緒の仕草をした。
(あー、この女性は俺で、俺はこの女性なんだ)
そのように納得するしかなかった。
鏡から離れて、ベッドに腰掛けて冷静に考えを巡らす。
部屋の間取りと置いてある家具類は一緒だが、内装というか私物がすべて女性のものになっていた。
たとえば、カーテンが紺色から淡いイエローになっていたり、3ボックスが可愛いタンスになっていたりしていた。
これは俺が女だった世界線のパラレルワールドにいる可能性が高いと思った。
まるでたちの悪いラノベだ。
そんなことを考え、苦悩しているとスマホの着信音がなっていることに気がついた。
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電話の主は俺が男の世界の時に親友だった清彦だった。
いろいろと話しかけてきたが、俺は、「うん」、「はい」としか答える事が出来なかった。
そんなことを話していたら、対応がいつもとおりではなかったみたいで、「なんだか、いつもと違うけど大丈夫?一応、彼氏なんだから、何でも話してほしい」と言ってきた。
おいおい、清彦、お前は俺の彼氏なのか!
もう、それしか考えることができなくなって、とりあえず電話を切りたいと思った。
「ちょっと風邪ぎみで、、、横になりたいから電話を切るね」
そう言い切ったあとに清彦の返事を待たずに電話切った。
その後すぐにLINEで、「心配だから、そっちに行く。何か欲しいものがあったら連絡して」とメッセージが入っていた。
俺が知っている清彦だったら、まちがいなく来訪してくるだろう。
どうしよう。
とりあえず、清彦とのLINE履歴をみて、どのくらいの関係まで行っているのかを調べることにした。
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LINEの履歴、スマホの写真を一通り読むと絶望しかなかった。
清彦との関係は最後まで、そうセックスまですませていた。
それも、お互いの処女と童貞を捧げあっているようだ。
ほんとうに絶望しかなかった。
俺のアパートと清彦のアパートが俺の世界線と同じであれば自転車で.30分ぐらいでくるだろう。
いや、あいつのことだから、滅茶苦茶急いで来るだろう。
だから、20分ぐらいか。
ならば、それまでに俺はどうするかを決めなければならない。
そう、本当のことを言うのか、それともこの世界線の自分を演じるのかを。