>>4第1章:奇妙な依頼
雨の降りしきる夜、探偵事務所のドアがノックされた。扉を開けると、そこには黒ずくめのコートを着た、長身の男が立っていた。鋭い目つきと引き締まった顎、明らかに只者ではない雰囲気を醸し出している。
「あなた…朝倉探偵事務所ですね?」
男は低い声で尋ねた。朝倉は頷き、彼を事務所の中に招き入れた。
「雨の中、わざわざご足労いただきありがとうございます。私は朝倉と申します。どのようなご依頼でしょうか?」
男はコートを脱ぎ、椅子に腰掛けた。その顔には深い疲労の色が浮かんでいる。
「実は、奇妙な事件に巻き込まれまして…私には、弟がいます。彼がある日突然、姿を消してしまったのです」
朝倉はメモを取りながら、話を聞いた。弟の名前は悠真、年齢は25歳。職業は製薬会社の研究員で、数日前から連絡が取れなくなっているという。警察にも捜索願を出したが、手がかりは何も見つかっていない。
「警察も動いてくれているのに、なぜ私に…?」
朝倉が尋ねると、男は真剣な表情で答えた。
「悠真が最後に残したメモに、あなたの名前があったのです。『何かあったら朝倉探偵に』と」
朝倉は眉をひそめた。自分に心当たりはなかった。
「メモ以外に、何か手がかりはありますか?例えば、彼が普段と違う様子だったとか…」
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