14914fc8 No.2117
この身体は最高だ。
どんなに走っても疲れない。
前の身体とは大違いだ。
1ヶ月前は88年使い古した体で病院のベットから動くのもやっととだった。
股間のものだって、もう何十年と大きくなることはなく、覇気も精気もない状態だった。
しかし、金はあった。
だから、この若い体を手に入れた。そして、自分の脳を移植した。
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俺の名前は椎崎清彦。資産家としてそれなりに身を立てた男だ。
元々身体が強くなく、運動神経もよくはない、モヤシ坊やだった。その分頭がよかったのか、資産を作ることはできた。
だが、それでも「強い身体」に憧れがあった。その憧れは、体が弱っていくにつれ大きくなっていった。
だから、強い身体の持ち主を養子として引き入れて、その上で脳移植を行った。
こうして俺は15歳の「椎崎太刀葉」として生まれ変わり、元々の椎崎太刀葉は「椎崎清彦」として葬った。
俺は得たのだ。俺の脳を載せた若い身体を。
そして若い身体になった事で、欲望まで復活したようだ。
俺が次に望むもの、それは――
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青春を謳歌することだ。
表現が古いが中身がおじいさんなのだから仕方がない。
前の体はモヤシ坊で勉強しかしていなかったため、青春らしい時期は全くなかった。
だから、こんどは今風に言えば『アオハル』を楽しみたい。
椎崎太刀葉の体は女性であり、男の時とはまた違うものだが、それでも青春というものを楽しみたいと思った。
本物の椎崎太刀葉は顔もスタイルも学校では抜きんでていい。
そして、頭も良く、そして回転もいい。
だから、男子生徒から、いや女子生徒からも人気があった。
男女問わず多くの告白もされていたが、すべてお断りをしていたみたいだった。
だから、最初はその流れを引き継ぎながら、自分と一緒に青春を過ごす相手をじっくりと探すことした。