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俺が女に……。鏡でちゃんと確認するまで、信じたくない。顔を見れば男かもしれない。手が伸びそうになる胸部の重さは、ひとまず無視する。
鏡は近くにない。かわりに、近場に湖があったことを思い出す。全速力でそこに向かい、水面に映る自身の姿を確認した。
「美人だ……」
思わず、そう口に出していた。水面という、歪んだ反射にも劣化することのない、冴えた顔立ちだった。サラマンダーの名残だろうか。頭の角とドラゴンみたいな尻尾を無視すれば、人間とあまり変わらない。
「いや、エロいな」
水面に映しつつ、顔を動かして全身を確認する。服を着ていない。そのかわりに、赤と黒の鱗で身体の一部が覆われている。男心をくすぐる色使いの鱗だが、一部である。おへそとかは丸見えだ。逆にエロくなっている。
局部は一応隠されていた。しかし一応だ。下を向けば、視界を遮るように膨らんだ胸。鱗が足らずに、上乳が丸見えである。人間と変わらない肌色のせいで、眼精疲労になりそうだ。
これは半裸と言っていいのだろうか。人間の尊厳的にも半裸と言い張りたい。たぶん人間じゃ無くなっているけども。今だってこんな格好なのに、全く寒くない。走ってきたのに、息も上がっていない。見た目同様に、身体能力もサラマンダーのように強化されている。
「さてどうしよう」
俺は鱗と角と尻尾を持った美女になってしまった。それだけとれば格好いいのだが、エロいコスプレ女にしか見えない。いや、異世界だから亜人だろうか。このまま人のいる場所へ向かってもいいのだろうか。それとも、この身体について確認するべきなのだろうか。
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巨体の名残を感じさせる長い手足。サラマンダーとしてのパワーを発露するように、突き出る豊満な胸。どんなポーズでも様になるだろう。いつか雑誌の表紙で見たように、両手でロングの赤髪をかき上げる。水面に映るのは、図らずも胸が調教された美女の姿。自分がこの女性とは思えない。エロい。とてもエロかった。
「こんなポーズも……。これも、いいな。うおっ、胸が揺れて」
これだけ見栄えが良ければ、気恥ずかしさよりも楽しさが勝る。グラビアアイドルのように腕で胸を挟んだり、アイドルのような決めポーズを取っていった。女性性を強調するポーズは、とても妖艶でよく似合っている。逆にアイドルのような可愛い振る舞いは、少しミスマッチに思えた。しかしそれが、インモラルな変態性を醸し出す。キメ顔が出来ずに緩んだ口元を無視すれば、写真集でも出せそうなぐらいだ。
そうして色々なポーズを取るために身体を動かせば、豊満な胸が揺れ動く。この胸は胸筋などではなく、ちゃんと柔らかいおっぱいらしい。その重さ、前方に重心が傾く感覚、谷間同士が擦り合わさる触感、それらを意識せざるを得ない。ふつふつと身体の奥から熱が湧き上がってくる。サラマンダーだから、というわけではない。
辺りを見回す。人はもちろん、モンスターも近くにはいない。静かな湖があるだけだ。
「いいよな。誰もいない。この身体は、別に俺自身ってわけでもないし。見られても……。我慢する方が、この身体に失礼だよな」
誰に聞かせるわけでもないのに、口が回る。つまり、やりたいことは一つだけ。下に目を向ければ、ほのかに色づく2つの膨らみ。俺は極上の胸へと手を伸ばした。
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柔らかく弾力のある乳房に触れると甘いため息が漏れる♪
それは自分でも知らない声、まるで別の存在からのものだった♪
清彦は、自分の新たな身体の感覚に圧倒されながらも、その快感に溺れていた♪
手が胸へと伸びる度に、柔らかさと重みが伝わり、まるで身体の内側から火が燃え上がるような感覚を覚えた♡
「この感触……♡」
彼はその感覚に酔いしれながらも、自分の変化を理解しようとしていた。
美しく大きな乳房を愛撫するうちに下腹部からも熱が生まれ、秘めた場所へと意識が向かう。
自然と手が下に滑り、そこに触れると驚くほどの敏感さを感じた♪
蜜が溢れ、指が滑る♡
「これが………俺の身体…♡」
そう呟きながらも彼の手は止まらずに快楽を更に追求する♪
胸の先端を指でつまむと、快感が背筋を走り、股間が疼く♡
乳房の重み、その柔らかさ、すべてが彼を新たな快感の渦中に引き込む♡
清彦は自分が感じている快感がサラマンダーの能力によるものであることに気づいた。
火の精霊としての力は快楽も増幅させるようだった♪
指が動くたび身体が震え快感が高まる♡
湖面に映る自分は、まるで別の存在のように見えた♡
エロティックで、妖艶で、しかしそれは確かに自分自身だった♪
「ああ……♡」
声が自然と出る♪
抑えようとしても快感の波は止まらない♡
身体全体が炎に包まれたかのように熱を持ち、快感が頂点に達しようとしていた♡
胸を撫で、秘めた場所を探求する手の動きは、ますます加速する♪
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「ああっ……♡」
声が漏れる♡
炎のような熱が身体の内側から外側へと広がる♡
サラマンダーの力は彼の快楽を増幅しまるで火の精霊が彼を導くように快感は頂点へと向かう♡
身体が自然と動き快感を追い求める♡
そして、ついにその瞬間が訪れる♡
全身に広がる熱が快感の爆発と共に解放される♡
震えながら清彦は初めてこの新しい身体で感じる、オーガズムの強烈さに身を任せた♡
オーガズムは彼の身体の新たな能力を証明するかのように強烈だった♡
「これが……俺の新しい力……♪」
息を整えながら清彦は湖面に映る自分を見つめた。
そこにいるのは男の魂を持ちながらも美女としての身体を持つ新しい自分だった♪
サラマンダーの力はただの戦闘能力だけでなく、快楽への理解や感覚をも変えていた♪
「この身体と……この能力と……これが……サラマンダーへの変身……♡」
息を切らしながら湖面に映る自分を見つめる。
そこには男の魂を持ちながらもサラマンダーの美女として生まれ変わった自分がいた。
新たな力、新たな感覚、新たな自己認識。
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彼はその新たな自分を受け入れ快楽と力の両方を理解する旅へと出発する事にした。
辺りは静かでただ湖の水面が彼の新たな存在を映し出す。
その姿は清彦が想像もしなかったエロティックな美しさを持ち、
彼の新たな冒険の始まりを告げていた。
清彦はふと、自分の内に取り込んでいたサラマンダーを分離できるか試してみることにした。
深い呼吸を一つし、心を集中させると不思議な感覚と共にサラマンダーが彼の身体から離れていった。
つまりサラマンダーとの分離に成功した。
当然、清彦は本来は人間の男である自分の身体に戻っていた!
清彦は驚きと不安を感じながらも、本来の自分自身に戻れた事に安心安堵しかけたところで…
「あっ!」
分離したサラマンダーは、野生で生きていた獰猛な存在だった!
あの時、遭遇したサラマンダーから逃げ回っていて運良く岩陰に隠れられ、隙を見て背後から吸収し取り込めたとはいえ、分離したら当然怒り狂って攻撃してくるのではないかと予想したからだ。
「ヤバい!」
だが、予想に反して、サラマンダーは意外にも大人しかった。
清彦に近づき、まるで昔飼っていた愛犬のように懐いてくる。
その時急に頭に浮かんだのは、自分がテイマーであり、取り込んだ魔物をテイムできるという能力が備わったとのことだった。
【清彦はテイムの能力を使用、テイマーになりました】
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しかし懐かれているとはいえ、相手は巨大なサラマンダーだ。
悪意なく喜びで頬擦りされるだけで、清彦は跳ね飛ばされて全身打撲、全身粉砕骨折で死ぬか焼け死ぬか圧死するかもしれない恐怖に震えた。
ガクガクブルブル……
とにかく距離を取らなくては!
分離した瞬間、野生的で巨大なサラマンダーだったが、何かに気付いたかのように急速にその体を小さくし始めた。
清彦はその驚くべき変化に目を丸くした。
そして見る間に先ほどまでの清彦自身が変身していたサラマンダーの魔人の美少女の姿へと変わっていったのだ!
「あ、あ~、人間の声出せる♪これでご主人様とお話しできるし、一緒に居られる♪」
元サラマンダーの美少女は、初めて人間の声を出す喜びに満ちた表情で言った。
その笑顔は清彦に対して深い信頼と愛情を示すものだった。
彼女の声は野生的で凶暴凶悪、獰猛だった存在とは思えないほど甘く
透明感があり、まるで音楽のように響いた。
彼女の言葉から感じるのはただ一緒にいることの喜びと清彦との絆を大切にする純粋な想いだった。
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「でもこの場所、ワシは平気だけど今のご主人様には危険! ご主人様はワシになって♡
ワシ、ご主人様とまた一心同体になる♪」
清彦は目の前に立つ、元サラマンダーの美少女を見つめた。
彼女は清彦に微笑みかけ、その瞳には純粋な喜びが宿っていた。
清彦は不安と期待の入り交じる心境で、彼女の提案を受け入れる決意をした。
確かにここは安全な日本じゃない。
何しろ体長数十メートルの魔獣や危険な魔物が棲む森なのだ。
「わかった。一心同体になろう」
「やったぁ〜♪ 嬉しい♪」
その言葉と共に、元サラマンダーの美少女がゆっくりと清彦に近づいてきた。
彼女の歩みは優雅で、まるで水面を滑るような滑らかさがあった。
清彦はそこに立ち尽くし、何が始まるのかを予感しながら彼女を待った。
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赤い鱗に包まれた両腕が、俺の顔へ伸ばされた。人間と変わりのない、たおやかなその手のひらで、頬を包まれる。サラマンダー故だろうか、火照った頬よりも暖かい体温が伝わってくる。その感触は、新品の羽毛で包まれている錯覚にさえ陥りそうだった。
そのまま、サラマンダーの顔が近づいてきて、唇と唇が触れ合った。突然の行為に、どんな感触かは吹き飛んでしまう。硬直した身体に、何かが流れ込んでくる感覚があった。舌ではない。ぼんやりと、それがサラマンダーのパワーの塊だと直感する。
いつの間にか、目の前のサラマンダーは霞のように消え去っていた。しかし、俺には彼女がどこに行ったのかを理解できている。サラマンダーは俺の中にいる。2人は混ざり合い1つになったのだ。再び俺は、あのエロい姿へと変身していたのだった。
「すごいぞ。力がみなぎってくる」
ハスキーな、それでも男の声と異なる音色で呟く。一心同体になった影響か、先ほどよりも身体が軽い。身体の奥底で、エネルギーとしてマグマがグツグツ燃え盛っているような感覚がある。初めての感覚だが、思い通りにこの力を使いこなせる気がした。頭に浮かび上がったイメージをそのままに、腹に力を入れる。その力を放出するように、口へとせり上がらせる。ゴウッと、口から炎が放たれた。
「おわっ、熱っ、くない。そりゃそうか」
炎が放たれた湖から上る水蒸気を、ぼんやりと見つめる。自分の手に入れたバトルファンタジーの力に、圧倒されるしかなかった。
「いつまでも、こうしているわけにはいかないな。この力があれば危うげなく森を抜けられる、よな」
もう一度、水面に映る美女を見る。鏡さえ手に入れば、安全にこの姿をじっくりと眺めることができる。ここに長居しても仕方がない。後ろ髪をひかれながらも、湖を後にした。
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清彦は危険な森も過酷な荒野をサラマンダー娘の身体で快適に安全に通り抜けた。
彼女の身体は炎の力を宿し、その強靱さと耐久力は危険な森も、荒野の過酷な環境をまるでピクニック感覚で乗り越えることができた。
「まぁ、人間の清彦だったら10回は死んでただろうな(苦笑)」
と清彦は思わず苦笑した。
何しろ猛毒の沼も水溜まり感覚で渡り、高さ数十メートルの切り立った崖を20センチの階段のように
ひと跨ぎで降りる。
サラマンダー娘の力強さに感謝しながら街道に出た。
街道には馬車の轍が刻まれており文明の気配が感じられた。
ここならサラマンダー娘と分離してももう大丈夫だろうと判断した清彦は彼女と分離した。
「ご主人様はもっとワシになっていてよいのじゃぞ?」
サラマンダー娘は少し寂しそうに言った。
「うん。君の身体のおかげで無事に安全に楽しく荒野を渡れたよ。ありがとう♪」
と清彦は感謝の言葉を伝えた。
「ご主人様〜♪」
サラマンダー娘は嬉しそうに清彦の腕にギュッと抱きついた。
さっきまで自分の身体だったのに今は彼女の可愛らしさに心が和む。
「まぁ、鏡に映るまではこうして眺めるのもいい。異世界を自分の足で歩いてみたかったし♪」
清彦はサラマンダー娘の姿を見つめながら彼女にぴったりの名前を考えていた。
彼女の炎のような髪や身体に刻まれた炎の模様、そしてその力強さを象徴する存在感にふさわしい名前が欲しかった。
「そうだ、君には『焔(ほむら)』という名前が似合うと思うよ♪」
清彦は優しく微笑みながら言った。
サラマンダー娘、焔は自分の新しい名前を聞いて瞳を輝かせた♪
「ほむら……ワシは焔じゃな♪ご主人様が名付けてくれた名前じゃ♡嬉しいぞ♪」
彼女の声は火の弾けるような音色を持ち、清彦の心を温かく包み込んだ。
焔は清彦の側に寄り添い、まるで炎が揺らめくように優雅に動いた。
「これからは、焔と一緒にこの異世界を冒険するんだ。僕たちの新しい生活が始まるよ。」
清彦は焔の手を握りしめ、未来への希望を感じながら二人は新たな旅路へと踏み出した。
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異世界の太陽が夕陽となり2人を照らしす頃清彦は今日もサラマンダー娘、焔の身体で野宿をすることを決めた。
彼女の身体なら夜の寒さや野生動物からの危険も感じることなく安心して休息を取れる。
「焔、またお願いしてもいいかな?」
と清彦は微笑みながら言った。
「もちろんじゃご主人様♡ワシと一心同体になればどんな夜も快適じゃぞ♪
それにご主人はワシに許可えなくてもワシを服だと思って好きにワシの身体になるのじゃ♪」
焔は嬉しそうに答え、それに応じて清彦は彼女と共に一体化の儀を始めた。
焔がゆっくりと笑顔で清彦に近づいてきた。
彼女の歩みは優雅でまるで水面を滑るような滑らかさがあった。
彼女が清彦の前に来ると両腕を広げて彼に抱きついた。
彼女の体温が清彦の肌に伝わってくる。
その瞬間、清彦は彼女の皮膚に触れる鱗の感触、そして微かに感じる火の熱さを覚えた。
彼女の髪が風に揺れ、清彦の頬を撫でる。
「ご主人様と一心同体になる♪」
彼女の声は甘く、清彦の耳元で響いた。
そして彼女の身体が清彦の身体に溶け込むかのように徐々に一つになっていった。
最初は彼女の腕が清彦の身体に同化する感覚だった。
彼女の鱗が清彦の肌と一体化し、その瞬間彼は彼女の力、体温、そして存在感を自分の中に感じ始めた。
清彦の意識が徐々に焔の身体へと移行していく。
清彦の心臓が速く打ち始め、彼女の心臓の鼓動が彼の心臓とシンクロするかのように響いた。
彼女の存在が清彦の身体の内側から外側へと広がっていく。
彼女の角が清彦の頭上で成長し、彼女の尻尾が彼の背中から伸びる感覚がした。
それはまるで二人の魂が一つになるまさに一体化の儀式のようだった。
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朝日が昇るにつれ清彦は焔から分離し、再び自分の身体に戻った。
焔との一夜はただただ穏やかで異世界の夜がこれほど美しいものだと再認識させられた。
「おはよう焔。昨夜はありがとう」
と清彦が言うと焔は微笑みながら
「ご主人様もおはようじゃ。ワシも楽しかったのじゃ♪」と答えた。
二人は朝食を済ませ街道に出た。
街道は昨日の冒険で得た経験を反映するかのように清彦の足取りを軽くさせた。
焔は清彦と共に歩きながら周囲の風景を楽しんでいた。
「今日も一緒に歩めるのが嬉しいぞ、ご主人様♡」
と焔が言うと清彦は彼女の手を握り、
「僕もだよ。焔がいてくれるからどんな冒険も楽しみだ♪」と答えた。
その時、焔の鋭い感覚が何かを察知した。
「ご主人、魔物の気配がするぞ。そして人間達が追われているようじゃ」
彼女は真剣な表情で伝えた。
「追われている?もしかして馬車か?」
清彦はすぐに状況を理解し焔とともにその方向へ向かった。
「ご主人、合体するのじゃ!」
と焔は清彦を自分の身体に溶け込ませる!
焔になった俺は風のように駆け出した。
焔の嗅覚は魔物の残留臭を追跡し、聴力は遠くから聞こえる馬車の音や追われている者の恐怖に満ちた声を捉えていた。
ほどなくして彼らは街道から少し離れた場所で魔物に追われている馬車を見つけた。
馬車は慌てて逃げており、魔物はそれを追い詰めようとしていた。
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清彦は焔と一体化した状態で彼女の炎の力を使って魔物を牽制し始めた。
彼女の炎は魔物を驚かせ、馬車への攻撃を一時的に止めた。
焔になった清彦の掌から放たれる威力をメチャ下げた炎が魔物を包み込んだ。
ブレスなら一瞬で消滅させるが威力がありすぎて余波で馬車まで一緒に消滅させてしまいそうだったから。
魔物はその熱さに耐え切れず逃げ去っていった。
馬車の近くに駆け寄るとそこには恐怖に震える旅人たちがいた。
清彦は焔と分離すると彼らに手を差し伸べ、安心させるために優しく話しかけた。
「大丈夫です。もう安全ですよ。私たちが助けに来ましたから」
「ありがとうございます……本当に助かりました……」
旅人たちは感謝の言葉を述べ涙を流した。
焔は清彦の側で微笑みながら、
「ワシも嬉しいぞ♪ご主人様。ご主人と一緒に助けられたのじゃ♪」
と囁いた。
魔物から旅人たちを救い出した後、清彦と焔は彼らの感謝の言葉に包まれていた。
旅人たちは命の恩人である二人に感謝の意を示すため何かを差し出そうとしていた。
「本当にありがとうございました。謝礼には少ないのですがこれを受け取ってください」
と一人の旅人が金貨の入った小袋を差し出した。
清彦は少し戸惑いながらも、
「ありがとうございます。でもこれは本当に必要ないんですよ」
と丁寧に断ろうとした。
しかし焔が清彦の肩に手を置き
「ご主人様、ワシらも旅の資金が必要じゃ。遠慮せずに受け取るがよいと思うぞ」
と微笑みながら言った。
※焔は清彦と一体化した時に人間にはお金という信用で成り立ち存在する貨幣と、今の自分達が無一文であることを学んだ。
「そうですね、ありがとうございます。」
清彦は旅人から金貨を受け取り感謝の意を伝えた。 さらに別の旅人が清彦の服装を見て
「あなたの服も傷んでいるようですね。私の持っている新しい服をお渡しします。これなら、旅の途中でも役立つでしょう」
と言って新しい服を差し出した。
「これは……本当にありがとうございます。助かります。」
清彦は旅人の厚意に感激し新しい服を受け取った。
「ご主人様、ワシもその服似合うと思うぞ♪」
焔は楽しそうに言い、清彦の新しい服を眺めた。
こうして清彦と焔は旅人たちからの謝礼としてお金と新しい服を受け取り
再び旅を続ける準備を整えた。
旅人たちの感謝の気持ちは二人の心を温かくし彼らの冒険に新たな力を与えた。
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清彦と焔は、旅人たちと共に街までの道のりを共に歩むことにした。
旅人たちは二人に感謝しながらも、魔物から守ってもらえる安心感に包まれていた。
道中、焔の存在感は圧倒的だった。
彼女の炎のような姿を見た魔物たちは、遠くからでもその威容に恐れをなして逃げ出していった。
焔の力強さと美しさは魔物だけでなく旅人たちにも強い印象を与えていた。
「ほんとうにあの魔物たちは焔さんを見るだけで逃げ出すんですね……」
一人の旅人が感心しながら言った。
「ワシの力じゃ。火の精霊としての力は魔物にとっては恐ろしいものじゃからの〜♪」
焔は誇らしげに答えた。
「本当にすごいですね。清彦さんと焔さんがいなければ、我々はどうなっていたか……」
別の旅人が感謝の言葉を述べた。
「みんなで無事に街に着ければ、それでいいんです。」
清彦は微笑みながら言った。
彼らのグループは魔物の脅威から守られながら安全に街へと向かった。
焔の存在が魔物を遠ざけることで旅はまるで平和な散歩のようだった。
旅人たちは焔の能力と清彦の優しさに感心し二人の存在に感謝の念を新たにしていた。
やがて、石畳の道が見え始め木造の家々が立ち並ぶ街の入り口が現れた。
旅人たちは、無事に目的地に到着した安堵感に包まれながら、清彦と焔に深く頭を下げた。
「本当にありがとうございました。お二人のおかげで無事に街までたどり着けました」
「これからもどうかお気をつけて。」
清彦は旅人たちに別れの言葉をかけた。
「ご主人様、また新しい冒険が待っておるぞ。ワシも楽しみじゃ♪」
焔は清彦の手を握り、二人は次の冒険へと心を向けながら街へと足を踏み入れた。
こうして清彦と焔は旅人たちと共に安全に街まで到着し、新たな物語の章を始める準備を整えたのであった。
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清彦は異世界の街の入り口に立つと深く息を吸い込んだ。
目の前には風に揺れる石畳の道が続き、木造の家々が穏やかに並ぶ人間の街が広がっていた。
木々の間から漏れる柔らかな光が異世界の静けさと神秘をさらに際立たせていた。
今日から本格的な彼の異世界生活が始まるのだ。
「さあ、焔、行こうか♪」
清彦は優しさと期待に満ちた声で言った。
そして彼女の手を優しく、しかししっかりと握りしめた。
焔——サラマンダー娘は長くて艶やかな赤髪を風になびかせ、二本の鋭い角を誇らしげに掲げながら清彦の隣に立っていた。
彼女の髪は炎のように赤く、微かに燻るような輝きを放ち触れるだけで熱を感じそうだった。
赤く輝く瞳はまるで火の核心を覗き込むような強さと温かさを湛え、肌には炎の模様が浮かび上がっていた。
その姿は炎そのものが人形の形を取ったかのようで圧倒的な存在感を放っていた。
「ワシも楽しみじゃ、ご主人様♪」
焔は微笑みながら答えた。
彼女の声は火が弾けるような軽快な音色を持ち、清彦の心に熱い鼓動を刻んだ。
二人は街の入り口に足を踏み入れた。
石畳を踏む足音が静かに響き辺りの空気が一瞬静まり返る。
すると街の人々が一斉に振り返り、驚きの表情を浮かべた。
焔の姿は火の精霊そのものであり、彼女の圧倒的な美しさと威厳に誰もが目を奪われた。
「見てください、あの美しい赤毛と角!まるで伝説のサラマンダーじゃないか!」
通りすがりの商人が興奮した声で叫んだ。
「ご主人様、ワシがこんなにも注目を浴びるとは思わなんだ……」
焔は少し照れくさそうにしながらも、嬉しそうに清彦に寄り添った。
彼女の頬には微かな赤みが浮かび、炎の模様がより一層輝いて見えた。
清彦は彼女の頭を優しく撫で、
「君は特別な存在だからね。みんな驚くのも無理はないさ」
と穏やかに答えた。
清彦の手の温もりが焔の心をさらに温かく包んだ。
二人は街を歩きながら異世界の生活を楽しみ始めた。
市場では異国情緒あふれる珍しい果物や、魔法の輝きを放つアイテムが売られていた。
焔は興味津々にそれらを眺め、時折清彦に
「ご主人様、これを見てみい!」
と興奮した声を上げた。
彼女の存在は子供たちにとってはまるでおとぎ話から飛び出してきたかのようだった。
多くの子供が彼女の周りに集まり、好奇心に満ちた目で焔を見つめていた。
「ねえねえ、お姉さん、火を出せるの?」
一人の小さな女の子が目を輝かせながら焔に尋ねた。
焔は優しく微笑み、
「もちろんじゃ、見てみるか?」
と答えた。
そして彼女の手のひらに小さな炎を灯した。
炎は柔らかく揺れ、暖かさを感じさせる光を放ち子供たちは歓声を上げ彼女の周りを飛び跳ねた。
その夜、清彦と焔は街の宿屋で一夜を過ごした。
「ご主人様、ワシは一心同体になれて本当に幸せじゃ……」