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王都から遠く離れた台地に位置する、広大な森の中。
到達すること自体が困難な僻地であるが故、人間はおろか魔物すらも訪れないはずのその場所に、突如として魔法陣が出現した。
「ふうん……流石に聖地と呼ばれているだけのことはあるわね。中々良いところじゃない」
魔法陣から発せられる光の中から現れたその女性は幅広の三角帽子を被り直すと、興味深そうに辺りを見渡しながらも歩を進めていく。
彼女はタチハ・リヴィエール。王都においてその名を知らぬ者はいないとされる、指折りの魔力と才覚を持った魔術師だ。
タチハがこの森に訪れたのは、病床に伏し、医者からも匙を投げられたとある貴族からの依頼によるものだった。
依頼の内容は、『幻の秘薬』と謳われる薬の材料を調達すること。
その薬が幻とまで言われている理由は材料にあった。材料の一部である特殊な薬草は、常人では立ち入ることすら不可能なこの森にしか生息していないのだ。
故に、聖地にたどり着くことが可能な数少ない手段である転移魔法を世界で唯一扱うことができるタチハに白羽の矢が立ったのは必然であり――そして、その結果として彼女が全てを失うこともまた運命であった。
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「多分あれよね?白銀草……名前通りの綺麗な薬草じゃない。ふふっ、余分に持って帰って試しに栽培でもしてみようかしら」
ほんの十数分の散策の後、薬草の群生地を遠目に発見したタチハは鼻唄混じりにそこへ向かっていった。
ただ薬草を採取するだけの簡単な仕事。しかしこの世でそれを成し得るのは、恐らく現代では彼女ただ一人。
それ故に、彼女はこの場において致命的な油断をしてしまっていた。――自分以外が辿り着けないこの場所に魔物が存在するはずも無く、ましてや罠などが仕掛けられているはずもない、と。
「……えっ?」
ずぶぶ、と。前方に踏み出した左足がブーツごと地面に呑み込まれ、バランスを崩してしまう。咄嗟に踏ん張ろうとした右足も、同じく地面の中へ。
その異常事態に気づいたタチハは自身の足元に目を向けると、うんざりしたように深いため息を吐いた。
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「はあ……最悪。なんでこんな辺鄙なとこに沼の罠なんてあるわけ?せっかくのローブが汚れちゃったじゃない」
彼女はそれを、ダンジョンに仕掛けられているありふれた罠と同様のものだと認識した。
事前に見つけることが困難ではあるものの、ただ身動きを制限するだけでしかない、熟練の冒険者にとっては嫌がらせにしかならないようなトラップ。
タチハは苛立ちながらも杖を構え、その穴から抜け出そうと転移魔法の行使を試みて……そこでようやく、彼女は自身が最大の危機に陥っていることに気付いた。
「う、嘘でしょ!?魔力が減って……いや、吸収されてる……!?」
そう、彼女は魔法を使うための糧となる魔力を今まさに吸い尽くされようとしていたのだ。
吸われた魔力が向かっていく先は、彼女が沼の罠だと思い込んでいた『何か』だった。
泥沼への『擬態』をやめた水色の粘液はその正体を現すと、穴の中にタチハを引き摺り込みながら、まるで捕食するかのように彼女の上半身までをも少しずつ覆っていく。
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「ひっ!?な、何なのこいつ、気持ち悪い……!そ、そうだわ、転移魔法じゃなくて浮遊魔法とかなら……」
それならばと、魔力の消費が多い転移魔法以外であれば使えるのではと思い立ったタチハだったが、その判断はあまりにも遅すぎた。
タチハが持っていた膨大な魔力は既に底の底まで吸い尽くされ、今の彼女は魔法の使えない無力な一般人と何ら変わらなくなってしまっていた。
謎の粘液はその間にもゆっくりとタチハの全身を穴の奥へと引き摺り込んでいき……生まれて初めて色濃く感じた死への恐怖を前に、彼女はまるで少女のように泣きじゃくりはじめた。
「や、やだ!!いやああああぁっ!!あたし、こんなところで……やだ、やだやだやだああっ!!助けて!誰か助け……ごぼっ!!?」
しかし、この僻地にタチハ以外の人間が存在し得ることはないため、助けを求める悲痛な叫びは広大な自然の中で虚しく木霊するだけだった。
粘液は彼女が大きく開いた口の中にまで入り込み、体内にまで侵入を続けながらもその全身を取り込んでいく。
やがて苦悶の呻き声も聞こえなくなり、タチハの頭部までもが完全に粘液で覆われてしまい――数分後、タチハがいた場所には彼女の持ち物である三角帽子と杖が、そして粘液の水溜まりだけが残っていた。
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程なくして、粘液の水溜まりが一瞬ピクリと動いたかと思うと、奇妙な現象が起き始めた。
つい先ほど粘液に取り込まれて命を失ったかに思われたタチハが、その中から頭だけではあるものの姿を現したのだ。
その顔から悲痛な表情はすっかりと消え失せ、それどころかニタニタとした笑みすらも浮かべている。
次いで水溜まりからはタチハの上半身が、ローブで隠されていた豊満な乳房と共にその姿を見せ、彼女は眼下に現れた双丘を嬉しそうに持ち上げながら口を開いた。
「おいおい、マジかよ!どんなバカがのこのこやって来たのかと思えば……くひひっ、まさかこんなデケェ胸した女だったとはなぁ♡その癖して魔力は元の俺の何倍もあるみてえだし、とんだ当たりを引いちまったぜ♡」
端正な顔を下卑た笑顔で歪め、透き通るような声でまるで男のような粗雑な言葉を吐きながら自らの胸を揉みしだく『タチハ』。
その肉体と魂はかつて人間の男だった粘液に取り込まれてしまい、今や彼に操られるだけの所有物と化してしまっていた。
そもそも、今や『聖地』と呼ばれているこの地はかつて罪人を追放して封印するための『流刑地』として使われていた。
タチハを取り込んだ粘液も当然、遥か昔に封印された罪人である。彼は禁術によって自らの魂を肉体ごとスライムに変え、他者の生命を吸収し続けることで永遠の命を得ようとしていたのだ。
結果として当時の魔術師の手によって捕えられて封印されたのだが、その事実が忘れ去られるほどに永い時を経た結果、封印が解けてしまっていた。
そんな最中、無人であるはずの流刑地に突如として現れた人間の気配を察知した彼は自らの姿を沼の罠に偽装し、"幸運にも"その罠に掛かったタチハの全てを奪うことに成功したのだった。
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男が魔力を込めてタチハの指先を降ると空中に薄く四角い光が現れた。それはバリアの魔法を応用したもので、光のみを反射させることで省魔力で鏡の役割を果たすというありふれた魔術だった。
「うひひっ♡このきれいな顔にエロい体!今から俺が好き放題に使わせてもらうぜぇ♡」
男は自身の身体を宙に浮かべ、鏡に映った己の裸体を視姦する。人ならざる魔性となり長らく封印されたことにより性欲も消えたかと思っていた彼だが、いざタチハの極上の女体が自らのものになったと実感すると胸の内から性欲が湧き出してくる。
彼はニヤリと妖しい笑みを浮かべ、その全身を余すところなく弄り始めた。
「おほ〜♡すげえでっけえ乳だなあ♡それに肌もすべっすべじゃねえか……くひひっ♡たまらねえぜ♡」
乳房を激しく揉みしだきながら感嘆の声を上げる男。膨大な魔力が全部詰まってるのではないかと思うほど大きくパツパツに実った乳は、手の動きに合わせてたぱん♡どぷんっ♡と淫らに揺れ動く。
その先端では綺麗なピンク色の乳首がピンと立っており、まるで触って欲しいと主張しているかのようだった。
「うひひっ♡このデカ乳、エロすぎる♡」
彼は自らの舌を伸ばしてその先端にしゃぶりつくと、そのままちゅううう♡と吸い上げ始めた。
すると乳房の根元から何かが搾り取られる感覚と共に魔力が滲み出し、同時に甘美な快楽が走る。それは今まで感じたことのない未知の快楽だった。
「んれろぉお〜っ♡うひひっ!こんなデカ乳は生まれてはじめてだぜぇ♡」
彼は夢中になって自分自身への授乳を続けながらも片手でもう一方の乳房を揉みしだいていく。
やがて、再びタチハの魔力が母乳として溢れ出して来た。びゅるびゅると空中へと放出されるそれは足元に広がるスライムへと落ち、そのまま男の体内へと吸収されて循環する。
「んぐっ♡うめぇ♡こんな上玉の女を好きにできるなんて最高すぎるぜ♡このデカ乳も、エロい体も……全部俺のもんだ♡」
彼は乳首から名残惜しそうに唇を離しながられろぉっ……と舐めると、その唾液をローションとして両乳首をつまみ始めた。
そのまま指先をすり合わせるようにして動かせば、豊満な乳房はそれに従ってぐにぃ♡むにゅうぅうっ♡と形を変えていく。
「おほっ♡たまんねえ♡この女の乳首、敏感すぎだぜぇ♡」
両の乳首を同時につねりながら快楽に浸る男。その快楽は全身に広がり、男の股ぐらからはぬるりとした粘液が染み出し始める。
それは今やタチハそのものとなった男の体から分泌された女としての快楽の象徴だった。
「うひっ♡すげえ……♡これが愛液ってやつかぁ♡ツルツルのパイパンまんこもたまらねえ♡くひひっ♡」
彼はその蜜を指先ですくい取り、自らの秘所へと塗りたくっていく。
「んひぃっ♡やべえ♡女のまんこ気持ち良すぎるぅ♡」
ぬちゅり♡と粘ついた水音をたてながらぷにっとした肉感の秘裂をなぞっていく。その割れ目からはとめどなく愛液が流れ出しており、彼の指先はあっという間にびしょ濡れになってしまった。
「まだ膣内(なか)にも入れてないのにぞくぞくするぅ♡」
封印された際に今まで吸収した人間たちの情報も剥ぎ取られ、ただの粘液としてただ時がすぎることを感じることしかできず、果てしのない年月により擦り切れ乾いていた男の魂には瑞々しい女の快楽はあまりにも刺激的すぎた。
「うひっ♡やべっ♡イっちまうぅ♡」
男は右手で自らの女陰を激しく擦りながら、同時に左手で乳首をつねり上げる。
すると、その快楽は全身に広がり……彼はついに絶頂に達した。
「おほぉぉおおっ♡♡♡んひぃいいいいっ♡♡♡」
びくんっ!びくんびくんっ!!と大きく痙攣し、股間からはぶしゅっ!と愛液が噴き出た。
そして背中をそらして白目を剥き、舌を突き出しながら快楽に酔いしれる。その体は快楽に耐えきれず全身にびくんとひときわ大きな震えが走ると、ぶちゅんと音を立ててタチハの体が形を崩してスライムへと溶け落ちる。
強すぎる刺激に男の意識が飛び、体を維持することができなくなったのだ。
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人の形をなくしたスライムの水たまりになった彼だったが、未だに快楽に全身を支配されているのか悶えるようにその表面に波紋が立つ。
「あひっ♡はへぇっ♡……んひぃっ♡」
彼は快楽の余韻に浸りながらもなんとか意識を取り戻すと、再びタチハの姿を作り出した。
「うひひ……♡すげえ気持ちよかったぜえ♡」
男は自身の体を見下ろしながら満足げな笑みを浮かべる。
「さて、こいつの体を試してみるのもいいが、ちょっと記憶を読み取ってみるか……んんっ♡」
彼は吸収したタチハの記憶を覗くために、目を閉じて精神を集中した。
男の魂の中にタチハという女の心と記憶が読み込まれていくと眉間にシワができるほど強く閉じられていた目がやがて穏やかに閉じた目つきになり、ガニ股気味だった立ち姿が内股になる。
そして、ゆっくりと閉じていた目が開くと、タチハは穏やかに微笑んだ。
「んんっ♡あぁ……私はタチハ・リヴィエール。王都で名を馳せる魔術師よ。魔術院に所属する上級魔術師とでありながらAのランクの冒険者としても活躍しているわ。その若さに似合わぬ膨大な才能と魔力、実績から将来は史上でも数少ない特級魔術師とSランク冒険者の掛け持ちも夢ではないと噂されているわ。まぁ、その才能に驕って慢心しがちだったせいでうっかりスライムに吸収されちゃったのだけど♡あと、この中身が詰まったぷるぷるのおっぱいとパイパン処女まんこがとっても敏感で自慢なの♡」
そういってくすくすと笑う仕草はタチハそのものだったが、言葉にした内容はとても本人のものとは思えないものに変わり果てている。それは、男が吸収したタチハの心と記憶を完全に自分のものにしたという証左でもあった。
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「そんな優れた能力と立場も、そしてこのエロくて気持ち良いカラダも、全部ご主人様のモノです♡これからはこの私、タチハ・リヴィエールのドスケベボディをご主人様の新しい人生の器として使ってくださいね♡ ……つってなぁ、ひひっ♡女を取り込んだのは初めてだが、こうして美女が俺の思い通りに動いてくれるってのは悪くないな。それに女としての快感も……んっ♡」
新しくタチハとなった男は鏡面に映る自分自身に媚びるような声で宣言させると、再び下卑た笑顔を浮かべながら自身の下腹部をさすりはじめる。既に人格すらも使いこなされて玩具のように扱われている彼女の全ては、これからも彼が望む通りの欲に満ちた人生を歩むための奴隷として使われていくのだろう。
それから『タチハ』はひとしきり自らの身体を愉しむと、やがて満足したのか彼女が着ていた衣服を慣れた手つきで身に付けていった。
「なるほどね、このローブが今の時代の魔術師の正装ってわけか。……このエロボディが隠れちまうのはもったいねえけど、しばらくはこれで我慢しておくか。下手なことして目を付けられても厄介だしな。さて……」
タチハは三角帽子をぎゅっと被り直すと、何事も無かったかのように薬草の群生地へと歩を進めていく。
期せずしてタチハの肉体を手に入れて現代に蘇った男は、二度目とも言える人生を慎重に歩んでいこうと決めていた。
彼が封印されてしまったそもそもの原因は先刻のタチハ同様に、その優れた能力故の慢心にある。
有力な魔術師達を悉く取り込み続けて膨大な魔力と強力な魔術の数々を身に付けた彼はもはや敵など存在しないと考え、自らの正体を秘匿することなくその力を振るい続けたのだ。
そんな男を危険視した魔術師達によって対抗策となる魔法が開発され、蓄えた力を全て引き剥がされた上で封印されてしまった彼は二の轍を踏まないようにあくまでも今までの『タチハ』として生きることを選び……そしてその人生を隠れ蓑としながら、封印前に叶わなかった野望を今度こそ達成しようと画策していた。
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「はい、依頼完了っと。後はこれを貴族サマの屋敷に届けりゃいいんだっけか……はあ!?」
薬草を摘み取り、魔法で空間を拡張した袋に放り込んだタチハだったが、依頼内容を確認するべく記憶を改めて探ったところで顔を歪める。『彼』には、その貴族の名前に覚えがあったのだ。
「ガルド家って、俺を封印した魔術師と同じ名前じゃねえか。まさかあいつの子孫か?」
依頼主であるガルド家の情報は、依頼を請け負ったタチハの脳にもしっかりと記憶されていた。
ガルド家は長きに渡って栄華を誇っている魔術師の家系で、代々封印術に優れているらしい。中でも魔力差を無視して邪悪を封印する一子相伝の封印魔法はあらゆる時代において重宝され、その魔法は特徴的な銀髪と赤い瞳と共に、当主となる第一子に受け継がれているという。
そして、今回の依頼主であり若くして重い病に侵されているその当主の容姿は、まさに彼を封印した魔術師の女の面影を感じさせるものだった。
「あのクソ女、さては俺を封印した手柄で成り上がりやがったな。ムカつくしあいつの子孫なんて見殺しにしてやりたいとこだが、それだとこれから俺が使ってくタチハの名前に傷が付いちまうしな……いや、待てよ」
しばらくうんうんと唸って考え込んでいたタチハだったが、ふと何かを思い立ったように呟くとその顔に邪悪な笑みを浮かべる。
やがて彼女は地面に魔法陣を出現させるとその上に立ち、転移の光と共に森の中から消えていった。