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見合いだと親父に呼び出された。見合いとはいうが、俺に断る権利はないらしい。いわゆる政略結婚というやつだ。
親父が金持ちなのはいいが、こういうのは困る。
「敏明…さんだ…ですよね」
だが相手の清美さんはすごく美人でいい体をしていた。無理やり見合いをさせられたという感じもさせない。
何かすごく親しげに話しかけそうになるのを、必至に丁寧にしようとしてるのもいい。普段の人柄と俺への好意が感じられる。
そう、どこか親友の清彦を感じさせる。そう思うと、髪や目の色も雰囲気も清彦っぽい。そういえば名前も偶然似てるな。
悪くない…うん、政略結婚でも、これなら…
9cbbc650 No.1570
そうそう、清彦っていうのは俺の親友で、でもこの前政略結婚のために遠くに行くことになってもう会えないってことだった。お互い家が金持ちだと大変だ、って話をしたんだ。
でもメアドだけ教えてもらってたから、時々連絡はとりあっている。
『政略結婚だし心配してたけど、すごくいい女でさ。気も合いそうだし、結婚が楽しみになってきたよ』
ほどなく清彦から返事がきた。
『僕も相手に気に入ってもらえたみたいなんだ。今から初夜が楽しみだよ』
清彦のくせに生意気だ。
『あぁ、俺もだ。でも俺のほうが楽しんでやるからな。自慢話、覚悟しとけよな!』
次のデートに現れた清美さんは、少し大胆な服で、何か恥ずかしそうな、それでいて期待するような…そう、慣れないのになんとか俺を誘そおうとしてる感じだった。