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/tachiha/ - たちは板κ

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2b89ff2f No.1628

9736a1ff No.2109

「あはっ、もう抵抗すらできなくなっちゃったの?おじさんざっこ~♡」
「ぐっ、うぅ……っ!」

迂闊だった。偶々スラム街に迷い込んで来た世間知らずのガキだと思っていつもみたいに犯してから身ぐるみを剥がすつもりが、まさか冒険者だったとは……!
当然いきり立った棒を鎮めることなんてできず、逆に俺がボコボコにされて身ぐるみを剥がされる結果となってしまっていた。
なんか意識も遠のいてきたし、下手すりゃ俺、ここで死ぬのかも――

「あれ、もしかして気絶しちゃった?はぁ……めんどくさぁ。ここまで衛兵さん呼んでこないとじゃん」
(……は?)

次の瞬間、俺の視界にはもう一人の「俺」が映っていた。その傍らにはあの少女がいて、横たわっている「俺」の手足を縄のようなもので手際よく縛っている。
そんな光景を、俺はぷかぷかと宙に浮きながら見下ろしていたのだ。

(っな……!?嘘だろ、本当に死んで……!?)

おもむろに自らの身体へと視線を落とすと、まるでスライムか何かのように向こう側が透けて見えた。手で触れようとしてみてもすり抜けるし、思うに身体から魂が抜けてしまったのではないだろうか。

9736a1ff No.2110

(や、やべえ!早く俺の身体に戻らねえと……いや、待てよ)

倒れている「俺」の身体に急いで戻ろうとした最中、ふと妙案が浮かんだ。
魔物の中には今の俺と同じような「ゴースト」という種族がいて、生身の人間がそいつらに直接触れると霊障とやらで身体が麻痺してしばらく身動きが取れなくなるらしい。
この娘に俺が見えてないってことはゴーストとは少し違うんだろうが似た状態ではあるし、もしかすると今の俺にも同じことができるんじゃないか……?

(このままだと衛兵を呼ばれて牢獄行きだろうし、試してみる価値はあるよな)

少女はいつの間にか「俺」の身体を拘束し終えていたようで、薄暗い路地裏を離れようと鼻唄混じりに歩を進めている。
捕まりたくない一心で、そして何より、俺を小馬鹿にした生意気な顔が歪む様が見たい一心で背後から少女に触れて――

「ふーん♪ふふーんふ……ぅぎぃっ!?あ゛っ、ぁあ゛っ……!!?」
(な、何だぁ!?腕がめり込んで……いや、こいつの中に吸い込まれて……!?)

俺の手が触れた少女が苦しそうな声を上げたところまではよかった。ところがどういうわけなのか、俺の全身は触れたその箇所に少しずつ吸い込まれ始めていたのだ。
先程のようにすり抜けるような様子は無く、魂となった俺の身体が小さく華奢な少女の中にするすると呑み込まれていく。

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とうとう頭の先まで完全に入り込んでしまい……同時に、俺は暗闇の中で奇妙な感覚を味わっていた。魂となった自分の全身がほどけ、少しずつ何かに染み込んでいくような感覚。
その"何か"は俺の身体に似ているようで、それでいて至る所が致命的に違っていた。
すらりとした細い足の中に俺の足が詰め込まれ、それに馴染むのに従って俺の足も同じ形へと変わっていくのが分かる。腕も、腹も、胸も、股間も。明らかに以前とは形状の違う何かへと次々に捩じ込まれ、その度に身体の感覚が俺の魂の形ごと造り変えられているのが分かる。
訳の分からない感覚の波はついに頭部まで到達してきて――どくんっ、と心臓が強く脈打ったかと思った瞬間、黒一色だった俺の視界に光が戻ってきた。

「眩しっ……クソッ、何だったんだ今のは?ていうかあいつはどうなっ……て……?」

あの少女の様子を確認しようとして身を起こし……身体を起こすという行為に、そして呟いた自分の声に驚いて放心してしまう。
俺自身の声とは似ても似つかない、どこか憎らしさが感じられるような甲高い声。確かめるようにして喉に触れてみると突起ひとつ無い滑らかな肌があったのだが、そもそも魂だけになっているはずの俺が"触れられている"こともおかしい。

「相変わらず俺の身体は倒れたままだし……は、はははっ!マジかよ、まさかそんなことが……!?」

少しずつではあるものの状況が分かってきて思わず笑みが零れてしまう。この想像が確かなら、俺はとんでもない物をあの少女から奪えたことになるのだから。
バランスの違う身体を操作する感覚に戸惑いつつもふらふらと歩き、廃屋のひび割れた窓ガラスを覗き込む。
そこにはあの少女の顔が映っていて、彼女は俺を罵った時の生意気な表情とは別物の黒い笑みを浮かべていた。

138f8e4c No.2115

俺の身体がどうなったかは気になったが、スラム街に戻ると、さっきの俺みたいな奴らに絡まれても面倒だ。
この身体なら、やり返すこともできるだろうが、バランス感覚が全く違う身体をうまく動かす自信がない。
とりあえず、衛兵の詰所で報告して、その後で衛兵から俺の身体のことを教えてもらおう。

詰所の方に行く途中に後ろから「お~い」と声をかけられた。
振り向くとそこにいたのは、、、。



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