「く、クソォッ……!」
「さあ、もう逃げ場はありませんよ。街を混乱に陥れた罪、その命をもって償ってもらいますから」
街外れにある埠頭で、とある少女と異形の生物が対峙していた。
魔法使いのローブのようなコスチュームを身に纏ったその少女の名はアオバ。普段は平凡な女子高生として暮らしながらも、その裏では悪の組織を相手に戦いを繰り広げている魔法少女である。
一方の異形こそが、悪の組織の手先である『怪人』と呼ばれる存在だった。怪人は魔法少女への対抗手段として生み出された改造人間で、彼女たちが使う不可思議で強力な力である『魔法』を模して造られた特殊な能力を組み込まれているのだ。
アオバが向かい合っている怪人が持つ能力は『入れ替わり』で、左右の手から放った光線に当たった者同士の魂を入れ替えてしまうというものだった。
その能力で市街地にいる一般人を無差別に入れ替え、騒ぎにおびき寄せられた魔法少女を部下の戦闘員と入れ替えることで戦力を増強するのが今回の作戦だったのだが――
「い、いいのか?俺を殺せば街にいる奴らは二度と元に戻れなくなっちまうんだぜ?」
「随分と安い命乞いをするんですね。魔法少女に倒された怪人はその能力を秘めた魔道具へと変わる、知らないわけがないでしょう?あなたが起こした不始末はあなた自身の能力で解決してあげますから、大人しく――」
「うるせえ!!」
淡々と語るアオバに向けて、怪人は右手から勢いよく光線を放つ。左手の光線は事前に部下の戦闘員へ放っていたため、後はアオバに一度でも光線を当てるだけだった。
しかしその攻撃がアオバに触れることは無く、ただ空を切るだけの結果に終わってしまう。光線よりも更に疾い速度で、彼女は怪人と一定の距離を保ったまま容易く回避してみせたのだ。
Post too long. Click here to view the full text.