6b2f1c30 No.1159
「ほうほう、ほう……あの金髪の娘、良いじゃないか」
露出の多い衣装を身に着け、衆目の面前で年齢に似つかわしくない艶かしい踊りを……それでいてぎこちなく踊る少女、いや幼女。
その周囲にもいくつか踊る女が居るものの、俺の目はその娘に惹き付けられた。
「なあ、お嬢ちゃん」
「あらぁ……おじさま。おじさまが、っ、わたくしを、買って下さるの……っ?」
薄い胸を張り、イカ腹を突き出し、小さな尻をくねらせて踊りながら答える幼女。
彼女の言う通り……ここは彼女らを"買う"ところ。といっても、それは単純な売春ではない。
文字通り、その"身体を買う"。身体をわが物とし、その身体に自分の魂を入れ替える……そんな裏の社交場なのだ。
「おや、意外に素直じゃないか。分かってるのかい? 私が君を買ったら、君はこのジジイに片脚を突っ込んだ中年のオッサンになるんだよ?」
そう、そして身体を買われた者は、買ったものの身体に入れ替わる。
ここで身体を見せびらかして踊るものは皆、それを分かった上で……自分の身体を商品としてアピールしているのだ。
「ええっ……わかって、おりますわ……っ。でも、そのお金でお父様やお母様は助かりますし……それに」
「それに?」
「おじさまの身体になったら……っ、わたくしは、おじさまとして生きる。こんなところでっ、大金をはたいてもまだまだお金を持っている人として……っ」
「その通りだね。私が君を買ったら……そうだな。"養子"、ということにしよう。私が君として、君の義理の娘になるんだ」
そこまで言ってすら、この幼女は笑みを崩さずに踊り続ける。
当時の部下に家と立場を奪われた元貴族の長女、奴隷市から拾い上げられた娘……。
プロフィールに書いてあったことを要約すればこんな具合か。奴隷として、さぞやひどい目に遭わされたと見える。
自分の身体を売って、本来の自分よりも早く寿命を迎える、オッサンになってもいいと思うくらいには。