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「す、すみません…迷子になってしまって」
「ん? 舞妓やて?」
「はい、泊めてもらえませんか?」
「あらまあ…うちみたいな宿に来はるなんて珍しいこっちゃ。けど、一見さんはお断りどすえ」
「でも…どうしても行くとこがなくて」
「ほうかえ…まぁ、そんなに真剣な顔して…舞妓になりたいんやな…なるほどなぁ…そんな可愛らしおす顔して、ええんよ、恥ずかしがらんとき。そんだけの決心があるんやったら、そらええ心がけやわ。舞妓はんはちょっとやそっとでなれるもんとちゃいまっせ」
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「あの、ただの迷子で…」
「大丈夫、大丈夫。そんなん、最初はみんな迷子みたいなもんやしなぁ、そないに心配せんとき。うちがええお茶屋さん紹介したるさかい、そっちで住むとこも世話してもらえまっせ」
通行止めから遠回りした山奥で車が故障してスマホも繋がらず、途方に暮れたときこの宿場街の灯りを見つけた
「あの女将、男のオレを見てなんか迷子と舞妓を勘違いして…なわけ無いか、男が舞妓になるなんて、まあ宿に有りつけたから結果オーライ」
紹介された茶屋の質素な部屋で早めの夕飯を済ませると、疲れから急な眠気に意識が途切れ夜中に目が覚めた
「暑く無いのに体が熱い…なんだこの汗」
気持ち悪い多量の汗を洗い流したくて露天浴場へ、湯船に浸かっていると誰かが入ってくる。湯気でよく見えず近付かれ女性と分かると目が離せない
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「え、えぇっと…目のやり場が…ここ…混浴なんですか!?」
「あらまぁ、あんさんが新入りさんどすなぁ。よろしゅう頼んますえ。これから色々あるやろけど、頑張りやすなぁ。」
そういって近付く女性は美肌を隠そうとせず、もしやチャンスなのでは?と誘う言葉を思案するも、ただでさえジンジンと火照る身体に息子が…反応しなかった。長く浸かり過ぎてのぼせたかと手で探る股間に指が滑る。息子が無くなっていた。
ビックリして湯船で立ち上がると
「無い…無くなってる!」
「どないしたん? 新入りさん」
「いやここに息子が…落ちた千切れた血は出てないけど」
「はじめから、生まれたまんまみたいな、傷一つあらへんピンク色やわぁ」
湯船に息子は見当たらずホントに無くなっている。狼狽するオレを見て
「もしかして、間違いがあったんやったら…」
ここの物を食べてはいけない事。この湯に浸かってはいけない事。ここにいてはいけない事を告げられる
「元に戻れる?」
「もしかしたら…」
これ以上長居は無用と最低限の着衣で逃げ出した
着替えのとき男物でなくなった下着に違和感なく履き替えてから