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/futaba/ - ふたば板κ

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「なんだ、清彦は今日も残って勉強していくのかよ?」
「悪いか?」清彦はむっとして、クラスメイトをにらみ返した。清彦はやぼったい太ぶち眼鏡に小柄で、いかにも勉強するしか能がない感じの生徒である。
「でも、この高校、閉まるのも早いし、先生たちにまるで追い出すみたいにされるし、生徒に勉強させたくないのかな?」
 清彦はあたりを見回す。帰り支度をしているのは、いかにもこれから遊びに行きますよと風なやつばっかりだ。もっとまじめな生徒の集まるところに進学すればよかった、とは常々清彦の思うところだ。
「知らないの?」クラスメイトは小馬鹿にしてきた。「昔、この学校で、清彦みたいに居残ってた女子が、乱暴されて殺されたんだってさ。だから神経質になってんだよ。清彦も気をつけな。
あ、清彦は一応男子だから大丈夫か」
「一応ってなんだよ!」清彦は絡んできたクラスメイトを追い出した。

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 誰もいなくなった教室で、清彦は勉強に励みはじめた。カフェとかは騒がしいし毎日通う小遣いもない。家は狭いし、清彦が勉強できるのは学校しかないのだ。
 それにしても、今日は眠い。体育がキツかったのだろうか。まぶたが自然としまってきて……。

 目が覚めた時には、教室も、窓の外も真っ暗になっていた。いつもなら居眠りしていても叩き起こされるのに、珍しく見逃されたらしい。時刻は9時か10時か、夜遅いのは間違いない。とっとと帰ろう、と清彦が立ち上がった途端、声が聞こえてきた。

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 前からか後ろからか、上からか下からか、それも分からず、まるで清彦の脳内に直接響いてくる、女だとは分かる声、
「残っている子、見いつけた!」
「うわあ!」清彦は身も蓋もなく悲鳴を上げた。
「男の子か……」声が不満そうになる。「男、キライ!」叫びとともに、見えない手が首を締めてきた。たちまち息が詰まり、もがく間もなく目の前が薄暗くなってきた。

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 その「手」が急に緩んで、清彦はゲホゲホと激しく息を着いた。
「あっさり殺してもつまんない。ワタシとおんなじような苦しみを味わって貰わないと……」
 呼吸の回復に苦しむ清彦には、声が何を言っているかも分からなかった。

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「まずは……上から順に行く?」
 床に膝を着いて苦しんでいた清彦が、無理やりまっすぐに立たされた。その姿勢のまま、頭に櫛のようなものが入るのを清彦は感じ取った。「声」の手は2本どころか5本も10本もあるらしい。

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 さらさらとすかされるたびに、清彦の髪が伸びていく。もともと柔らかい髪質だったが、少年らしく短く刈り揃えてあったのが、するすると伸びていく。頬を、うなじを、伸びる毛先はくすぐっていくというのに、清彦は笑うどころか「声」の魔力に震えるばかりだ。
 髪は、肩に掛かるぐらいまで伸ばされてしまった。

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「顔は……」見えない手が鼻を摘まみ、頬を撫でる。「そう変えなくてもいいか。ワタシとおんなじ顔のやつは、めちゃくちゃにはできないや」
 この先なにが待っているというのか、すでに女の子のように髪型を整えられてしまった清彦は、ここで解放してもらえるなら顔ぐらい変えてもらっても構わない、そう口にしたかったのに、ぐいっと喉を締められて声を呑み込まされた。
 すっすっすっ、とのどぼとけが撫でられ、平らになっていく。清彦は、声を変えられようとしているのだ。

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 「声」の手が、女の子のように髪の伸びた清彦のあごを掴んで、うつ向くのを許さない。
「アハハ、かわいくなった、かわいくなった!」
 さらに、見えない手が頬を撫でる。肌が均され木目細やかになり、元より薄かったヒゲやムダ毛が萎え落ちて行く。
「かわいくなった、かわいくなった、アハハ!」
 突然制服の前が掴まれ乱暴に開かれ、ボタンが幾つも吹き飛んだ。すぐにワイシャツと肌着も同じ目に合う。机に向かうばかりで鍛えているとは言いがたい、肉の薄い生っ白い胸板が剥き出しにされた。

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「イイワネ、あんたは全然ムネ無くて」
男にバストがあるとしたら、それはデブというのでは、とは清彦には恐ろしくてつっこめなかった。
「アタシは、そんなものがあったせいで!」胸の左右二面が、見えない巨掌で掴まれる。皮膚(かわ)もぶちきれんばかりの勢いで、清彦は激痛に泣き声をあげた。だが、皮膚が千切れることはなかった。手の怪力に合わせて延びたばかりでなく、その中身までどこからか吸い寄せられて、脂肪や乳腺組織を形成していくのが感じ取れた。



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