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「じゃ、じゃぁ俺から!」
成功しても失敗してもすぐに生還できたうえに、異世界のスキルやアイテムが手に入る。
メリットしかないと気づいた一人が即座に応えた。
少し出遅れて一人、二人…そしてまたたくまに全員が"存在"と契約した。
そして一人目の足元に魔法陣が現れ、そこに落ちるように彼は姿を消した。
そう思った瞬間、その場に光の玉が現れ、そこには…ファンタジー世界のお姫様のような美しい少女が立っていた。
教室がざわめく。
「お、おい!すぐ帰ってくるんじゃなかったのか!?」
「あ、あの、わたし…ううん、俺だよ。帰ってきたんだ」
そのお姫様が応え、何がおきたか語り始めた。
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彼は失敗した。最初のクエスト、王からの依頼で魔女から救出しようとした姫は、すでにレズ堕ちしていて、魔女の愛人になっていたという。
そうとは知らず姫に騙され罠にかかり、魔女の呪いで姫の姿にかえられてしまった。
そのうえ、魔女と姫の手で女の悦びをたたきこまれてしまった。
王城に帰って事情を話し助けを求めたところ、政略結婚に使えれば偽物でもかまわない、と。
そのために徹底的に"花嫁"として教育され、誰とでも結婚したいと思うようになり…魔王を倒す勇者への道は閉ざされた。
そしてこの世界に帰ってきたということだった。
「そんなわけで失敗しちゃいましたけど、この気持ちいい体で、どんな殿方も篭絡するテクニックも身につけて帰ってこれました。この中のどなたか、勇者として凱旋したあかつきには、わたくしと結婚してください♪」
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すっかり男を篭絡することしか考えてない、政略結婚用お姫様になりはてた元クラスメイトに、教室はザワついた。
「こ、こんなの聞いてない、やっぱりヤメだ!」
だが契約はなされ、"存在"はそれを許さなかった。
「いいなぁ、俺、勇者になってあいつを嫁にしたい」「おいおい、元はアイツだぞ>…でも、あれなら確かに…」
姫になった学友に鼻の下をのばすもの。
「スキルや装備だけじゃなく、姿も…!?」「あ、あんな美人になれるなら、女のほうが人生イージーモードかもな。それに女のほうがイイっていうし…」
変身に興味を持つ者。
"存在"は宣言する。「では次」
「お、俺!?い、いやだ~~~!!!!!」
だが帰ってきたのはまたしても女だった。彼だった女の姿は今度は…
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こうして一晩楽しんだ彼は…朝を迎えてもメス獣人の姿から戻ることはなかった。
そして昼は逃げて人間の男に戻る手段を探そうと思っても、夜な夜な発情してはあのオス獣人の元に戻ってしまうようになり、この世界に戻された。
戻される時、負けが確定した時は夜で発情していたので、この姿のまま戻りたいと願ってしまった。
だが…この世界ではまだ昼。発情がひいていくと絶望しかなかった。
「お、俺、こんな体のままで、毎晩発情して…どうしたらいいんだ!」
「俺の家で飼って…いや、かくまってやるよ。夜の発情の相手もしてやるからさぁ」
「いや、俺、俺のとこで…!」
「い、いやだ~!!」
嫌だといっても、その姿ではもう、誰か事情を知る者に飼われるしかなかった。
そんな騒ぎにはかまわず"存在"は宣言する。「では次」