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/tachiha/ - たちは板κ

リレー小説用
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6ae39a00 No.110

19c2fd7d No.250

俺は水木清彦。ちょっとした事で異世界とやらに転生してしまった。
転生後の肉体はスライムで、まぁ色々あったが…、本当に色々あったが、なんとか元の世界、地球に戻ってくることができた。
時間は異世界転生に遭った事故の直後。つまり地球での時間は経過していない。

とはいえ、人間の肉体に戻ったわけでなし。俺の肉体はスライムのままだ。
異世界でもモンスター扱いされていれば、当然地球でもモンスター扱いだろう。だったら人間の姿にならないと、混乱は確実だ。いやだよこっちでもモンスター扱いとか。

懐かしい我が家に戻ってきて、体を構成していく。スライムとしてモンスター娘を主に捕喰した事や、人間の女性に触れたことで、俺の肉体は男性として作るより、女性として作るほうがだいぶ楽になっていた。
ゆっくりと「人間としての肉体」を作っていくと、無意識に作られるのはやはり女性の体。
むちむちしたおっぱいにお尻、くびれた腰、股間には割れ目があって、誰が見ても魅力的な女の体だ。

そこから意識を持っていくと、女性の肉体は男として変化し、「水木清彦」のものに戻った。

さて、3度目の新しい人生だ。普段は「水木清彦」として生活しながら、また色々やっていこう。
その為には普段の生活に戻らないといけないが、久しぶり過ぎてうまくやれるかな。

> 水木清彦の本業

# 1):サラリーマン
# 2):大学生
# 3):作家
# 4):私立探偵

71194cf8 No.256

# 4):私立探偵

転生前の俺の職業は私立探偵だった。転生前から妙に気配を消すのがうまく、調査や尾行が得意だったから。そして独り身なのもちょうどよかった。たとえ俺が危ないヤマにぶつかっても誰にも被害がでないから。
俺は部屋に置いたままになっていた手帳……これも俺目線で見ればとても懐かしいものだ……を見る。ちょうど転生前に一通りの仕事は片付けていたのを再確認し、口座には少しの間は困らなそうな蓄えがあるのも確かめた。
「まずは久々の日本を確認するか」
俺は壁にかけてあるジャケットと中折れ帽を手に取る。使い込まれているが傷んではいない愛用の衣装たちになんとも言えない感情が湧き上がる。
「懐かしいな…よいしょ」
羽織ってみるとちょっと肩がきつく感じて笑ってしまう。あっちの世界でいろいろあったときに少なからず男の体も鍛えられるような経験もあり、自分の認識している今(転生後)の姿と過去(転生前)の姿にギャップがあるのを痛感してしまったからだ。
俺は肩幅と顔つきを修正していく。異世界のスキルで覚えている俺の過去の姿に合わせていくと、顔つきのたくましさが少しだけ弱くなり、肩の窮屈さも消える。
「うん、こんなもんか」
俺は鏡で確認する。そこには少し中性的な顔立ちの青年……水木清彦がいた。
「さて、と」
俺はジャケットを羽織り直す。この姿も久しぶりだ。
俺にとっては数年ぶりの日本なのに世界にとってはほんの数秒ぶりという時差。その時間差に少し戸惑いながら、俺は玄関を開けて久々の日本へと足を踏み出した。

63bf2808 No.262

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さて、私立探偵とはいえ、事件に遭うなんて稀だ。俺の知る限り、世界は平和で、フィクションみたいに毎度事件が起こったりはしていない。
俺の普段の仕事は、素行調査やペット捜索なんかが基本だ。

とはいえ、今はそんな仕事さえ数年ぶり。俺は本業に戻れたことへの充実感を味わっていた。

「ここが月村常葉(つきむら・とこは)さんの住まい、か」

今の仕事は行方不明になった、月村常葉さんの捜索。
折角久しぶりの日本を堪能しようかと思った矢先、知り合いの刑事の利明に「お前も手伝え」と言わんばかりに連れてこられたのだ。

高校生、16歳、一人暮らしのアパート住まい。ここ一週間ほど学校にも顔を見せず、学校や実家からの連絡も応えず、本人からの連絡もなし。
見事な失踪度合いだ。大半の人間は何かあったに違いない、と考えるだろう。

利明はペアの刑事と、周辺の住人に聞き込み中。俺はアパートの人に聞き込みだが、まぁ信頼されない私立探偵では開く口もないかもしれない。
哀しくなったお俺は、最終手段として月村常葉さんの自宅に侵入してみる事にした。

鍵がないだろって? それがあるんだなぁ。
俺はドアノブの中央、鍵穴に人差し指をあてがい、ゆっくり押し込んでいく。指のスライムが鍵穴に入っていき、鍵の形に変形していく。そのまま指を回すと、カチリと音を立てて鍵が開く。

「よしよし」

本来ならここでピッキングツールとかの出番だろうが、体がスライムだと鍵開けが楽でいいな。
そのまま手袋をし、周囲に人が居ない事を確認しながらゆっくりと部屋に入っていく。
もちろん鍵は内側から閉めなおした。

63bf2808 No.263

室内は、静かだった。
月村常葉さんが、どちらかというと周囲に対してあんまり興味を持たなさそうな性格だったらしく、部屋の中に流行り物は少ない。
それでいて整頓はされている、きれいな部屋だ。

可能な限り調べてみる為に部屋の中を捜索してみると、床に落ちている髪の毛を見つけた。
じっと見てみると、恐らく月岡常葉さんののものだろう。

俺はそれをぱくりと呑み込み、咀嚼する。スライムの体内で分解して吸収すると、遺伝子から彼女の肉体に関する情報を獲得した。

おれ は つきむらとこは の からだ に へんしん できるように なった!!

とはいえ、それはそれ。これはこれ。
改めて部屋の捜索を続けると、鍵のかかった勉強机の引き出しにスマホがあった(当然鍵は開錠させてもらった)。
どうやら彼女の持ち物らしくロックがかかっているが、手を月村常葉のものに変身させ、指紋認証をしてみると、ロックが解除された。

中には当然ながら、通知が沢山ある。親、学校、友人、チラシにクーポン、メールなどなどだ。
それらも大切な情報だが、これは利明がいる時に開けないと不審がられるな。

他に何かないかと思い中を調べていると、日記に気付く。
内容を読んでいくと、驚くべきことが書かれていた。

>書かれていた事

# 1):衝動的に旅に出ようと思い立った日記
# 2):ストーカー男性から脅されていた話
# 3):殺害事件を見てしまった事、今度は自分が、という恐怖
# 4):太ってきたので山籠もりします、という書置き



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